開花宣言したものの、なかなか都内の桜は色づきません。
先日、こんな出来事がありました。セラミックスの材料規格はISO/TC206(ファインセラミックス)で、一方、セラミックスベアリングの製品規格はISO/TC4(転がり軸受)で国際規格開発が行われています。TC4に一般的な試験方法と異なる国際規格案をオーストリアが提案していることが分かり、急遽、TC4とTC206の国内委員会関係者がJFCA会議室に集まりました。オーストリア提案に対して、日本の対処案について意見交換を行い、TC間のリエゾンを組み日本の意見を主張していくこととなりました。
一旦、国際規格が制定されるとなかなか変更することが難しいため、日本にとって不利なルールが出来ないように常にISOをウォッチングしていくことが大事です。ソクラテスが裁判で死刑宣告を受けた時に、「悪法もまた法なり」と言いましたが、悪法であっても、法である以上は従わなければなりません。過去、品質管理の高さを誇った日本の管理技術が、ISO9000という品質保証の国際規格制定で混乱を招いたことがありましたが、時として文化の違いが規格に反映されます。スポーツの世界ではより鮮明で、ルールが勝敗を左右します。昔、日本のジャンプ陣が金・銀・銅メダルを取った後、スキーの長さが長身者にとって有利になるようにルール変更があり、日本は苦戦しました。ルールは決して万人にとって公平ではありません。日本人は、士農工商の歴史が長かったためか、ルールは公平に決められ上から与えられるものという思い込みがあり、欧州勢は、ルールは自分たちが作るものと言う意識の違いが、ルール作りへの意気込みに差が出ます。国際規格という美名の下で色々な駆け引きが行われるのが現実です。
国際規格はオープンな場で制定されますが、これは機会均等と言うことで、ルール作りに参加しないものは無視されます。ISO国際会議に参加しない間に不利な規格が出来ても、国際会議の開催通知は常に公平・平等に配信されているのです。
(web国際会議の拡大)
時間のかかる国際規格作りを急ぐため、最近、web会議でスピードアップすることが増えています。このweb会議は、欧州は13時、米国は9時、日本は21時に始まり、日本代表とJFCA職員は、JFCA会議室に集まり夜遅くまで海外の代表と議論をします。見えないところで日本のために汗を流している専門家には、いつも頭が下がります。