6月2日JFCA平成29年度第1回イブニングセミナーがJFCA会議室で実施されました。
トレンドの話題について理解や議論を深めていただくために、JFCAではイブニングセミナーを開催しています。今回は、大阪大学 大学院工学研究科 教授 舟木先生から「次世代パワエレにおけるパッケージングの動向」について、ご講演いただきました。
「過去、敗戦を繰り返してきた“日の丸半導体”。パワー半導体という最後の砦を死守しつつ、新たな地平を切り開けるか。」 日刊工業新聞正月版の刺激的な問いかけ記事から2年が経ちました。日本が競争力を持つロボット・システム・大型機器などの産業機器の中核部品であるパワー半導体に対して、競うようにしてワールドワイドで技術革新が進んでいます。その中でもセラミックス部品は、次世代パワエレがその性能を発揮する高温領域で必要不可欠であり、ハイレベルな絶縁・放熱・機械強度が要求されています。
研究分野でも、SiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体によるパワーデバイスを用いた次世代パワエレ(パワーエレクトロニクス)の開発がすすめられています。これらのパワーデバイスを従来のSi IGBT/PiNDと同じような使い方をしていては,高いデバイス程度の扱いにしかなりません。高耐圧・高速スイッチング・高温動作といった特長を活かすには,パッケージング技術が鍵となります。今回は、次世代パワエレにおけるパッケージングについて,その構造と用いられる材料への要求と動向についてご講演いただきました。
ご講演では、パワエレの内容に続き次世代パワーデバイスの開発状況の概要についてのご紹介がありました。パワエレへの高い要求事項が新材料半導体デバイスにより、どのようにして解決されるかを電気・機械設計及び材料開発の課題に分けてご説明がありました。材料・部品メーカとして興味のある部材では、構造及び組み立て工程として詳しくご解説いただきました。続いて、SiCモジュールの高耐熱化への要求から必要な要素技術に展開を行い、課題を提示いただいた後、耐熱絶縁封止材料、ダイアタッチ材料、銅焼結接合、トランスファーモジュール、パワーサイクル試験などについて、それぞれの状況について解説をいただきました。さらには、スナバコンデンサー、多層セラミックスモジュール基板、スイッチング特性評価などにも話が及びました。
フリーディスカッションに移ると、ご出席いただいた幅広い内容についての質問が舟木先生に寄せられました。開発状況、海外動向、コスト、信頼性など様々な話題が取り上げられました。舟木先生は全ての質問に解りやすくかつ丁寧に回答されていました。終了時間が延長してしまいましたが、ご参加いただいた方々には満足いくフリーディスカッションだったのではないでしょうか。
最後になりますが、舟木先生とご参加いただいた皆様方に感謝を申し上げます。