先週、企業の株主総会に相当するJFCA総会が開催され昨年度の業務報告、決算報告を承認、今年度の業務計画、収支予算の報告が行われた。今期は、役員の任期満了の年にあたり、理事会で室町会長、村田副会長、矢野専務理事が再任、大川副会長(日本特殊陶業)が新任、皆様、宜しくお願い致します。
昨年は、JFCA設立30周年で記念講演会や記念式典で盛り上がった年でした。幸いに、日本のセラミックス産業は世界市場の4割を占めるが、今年度からは次の10年に向かって、引き続き世界のリーダを維持できるか、又はじり貧の道へ進むかの分岐点である。縄文土器から1万年、昨年は有田焼400年祭と長い歴史に裏打ちされ強い日本セラミックスであるが、高機能品は欧米との技術開発競争、低グレード品は韓台中の追い上げが続く。これまで情報収集が王道で「アンテナを高くはれ」の時代から、今日、アンテナの精度に加えフットワークが要求される時代、かつ、グローバルの枠組みの中に如何に埋め込むかが重要である。
(イノベーションセミナー)
今月16日(金)開催の年2回のイノベーションセミナー(東工大・田町キャンパス)、ベンチマークの好例として東レ・先端技術研究所・菅谷フェローによる「東レにおける先端材料の研究・技術開発戦略と将来展望」、NEDO技術戦略研究センター長・河合先生による「これからの日本の技術戦略・素材戦略」は参考になる。是非、数多くの参加を期待するとともに、セミナー後の交流会で未来に向けた議論を期待したい。
(工業標準化事業表彰)
経済産業省は、平成29年度工業標準化事業表彰(内閣総理大臣表彰、経済産業
大臣表彰、産業技術環境局長表彰)の候補者を募集中。これは世界で通用する国際標準化人材の育成、我が国における工業標準及び適合性評価活動の促進を図ることを目的としたもので、JFCA事務局は複数の推薦者の人選を進めている。(担当部長:藤井)
(バイオセラミックス)
米国の市場調査レポートは、ここ数年で成長率の高いセラミックス製品のひとつにバイオセラミックの年率10.07%を上げた。先月、METI/JFCAは複数のバイオ関係者とヒアリングを行い、日本のポジショニングを確認。驚くことに、平成26年の日本の医療機器輸出額は5,723億円で輸入額は1兆3,685億円、7,962億円の輸入超過。また、米国は、世界売り上げランキング上位20社中14社が米国企業(日本企業1社のみ)と高い国際競争力を誇る。技術的には日米イーブンと言われるが、100人のうち99人のメリットを取る米国と100人のうち1人のリスクを取る日本の制度の違いはあるが、まだまだ果敢なチャレンジが必要だ。JFCAは、11月に医療機器メーカ団体の日本医療機器テクノロジー協会と合同でイノベーションセミナーを開催予定です。(担当部長:兼国)
(産業構造の変化)
先々週、会員企業へ配布した第20回産業構造審議会総会資料(5月18日開催)がネット上で大きな話題となっている。これは経産省若手による文書「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」。主張は産業構造の変化は不可避だ、産業構造の変化を前提にした社会の変化、産業構造の変化を求めている。B-Bビジネスが主体のセラミックス産業も一読が必要である。山本七平の日本的民主主義を分析した「なぜ日本は変われないのか、日本型民主主義の構造」は参考になる。