(ISO/TC150名古屋総会)
先週、9月4日(月)から8日(金)、JFCA主催、日本医療機器テクノロジー協会(MTJapan)共催で名古屋国際会議場でISO/TC150(外科用インプラント)総会を開催。昨年のシドニー総会で日本総会を決議し、事務局として準備を進めてきた。TC150議長Jhonは米国FDA(医療食品局)部長、若い頃はフットボール選手かと思う長身。国際幹事国はドイツDIN(独規格協会)で事務局Elizaves、日本代表は堤先生(京都大学名誉教授)の布陣。
ISO国際会議は、高い密度で行われ実務的でかなり忙しい。会議をサポートする事務局も大変。初日の事務局の万歩計、2万歩を超えた報告には驚き。今回、日本提案に基づき、新しいWGの立上げが採択され今後具体的な作業が始まる。また、2日目と3日目の会議後にはワークショップ(AMED:日本医療研究開発機構の支援)も並行開催され、各国の認証基準とISO国際規格の状況について討論された。2日間で延べ150名の参加者があり予想以上の盛況、規格基準の国際調和の重要性をアピール。諸外国との人脈は、今後の国際標準開発に役立つことは言うまでもない。
ソーシャルイベントも盛況で、初日のwelcomeは堤先生の誕生日と重なりサプライズでハッピーバーズデイを皆で合唱。日本、ドイツ、ブラジルの3女性から花束と、私と議長Jhonからのケーキ贈呈。長きに渡り標準化事業において多大な貢献をいただいている堤先生へ、あらためて感謝の意を表することが出来き幸運。4日目のバンケットでは、徳川家康と服部半蔵忍者隊の登場で大盛り上がり、パフォーマンス後の写真撮影会と流暢な英語でサービスに努める忍者隊の姿に日本人も変わったと感心。これがまさに日本の「おもてなし」。
(国際ルール作りとISO)
良い機会なので国際規格について解説する。 WTO(世界貿易機関)TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定)は、国際規格とは国際標準化団体のISO(国際標準化機構、本部:ジュネーブ)、IEC(国際電気標準化機関)、ITU(国際電気通信連合)と定義。民間組織のISOやIECが? 官尊民卑が残る日本人はおやっと思うかも知れないが、そこが権威主義でなくルール尊重の民主主義。日本発行のクレジットカードが世界で使えるのは、ISO/IEC7810でサイズや厚さ
が決められ、世界の各社がISOを採用した結果、世界で使用出来る訳である。医療機器の世界でも、厚労省や米国FDAの各国政府がその認可基準にISOを採用すれば企業は大助かり。更に政府間で相互認証協定が出来れば、米国まで出掛けてFDA認可も必要ない。市場のグローバル化の中で、企業は基準に使う規格の国際統一、出来れば相互承認を期待で、このため国際規格作りは年々重要度を増している。まだ日本ではルール作りは政府の仕事、ルールは無料で作ると他人任せの面が強いが、これは大きな間違い。ルール(国際規格)は自分を守る武器で、欧米は汗を出しながらせっせとルールで外堀を埋める。ISO/TC206(ファインセラミクス)国際幹事国を引き受けるJFCA、試験評価方法の国際規格開発は素材の信頼性向上、市場の拡大とともに、より公平な試験評価で区別(差別化)する武器である。
余談であるが、日本で英語版のISO9001は138スイスフラン(15,732円)、翻訳版のJIS9001は3,600円。これは日本政府がISO分担金1.7億円を含め規格作成をリードしているからで、現在、公共料金で一番安いのはJIS規格と言っても過言ではない。ここが民主導の欧米と大きな違いで、結果として国際規格への意識や価格認識の違いが生まれる。世界で強い日本の自動車、ISO/TC22(自動車、幹事国:フランス)傘下のSC分科会の幹事国を取ったのは2年前、欧米が幹事国を手放さないこともあるが、これが日本の実力である。
最後にイベントものは、うまくいって当然でなかなか事務方が評価されないのが通常ですが、Perfectという言葉が似合う名古屋総会でした。感謝。