9月12日JFCA第2回見学会が、日本ゼオン株式会社 徳山工場(山口県周南市)で実施されました。この見学会は広報委員会交流企画分科会の企画で、23名の参加者がありました。
日本ゼオンは、石油化学メーカーとして、合成ゴムや合成ラテックス、化成品などのエラストマー素材と、高機能樹脂や光学フィルム、電子材料、リチウム電池材料などの高機能材料を世に送り出しています。これらは、自動車タイヤに使われる合成ゴムや液晶テレビやスマートフォン用光学フィルム、合成香料など、我々の生活と切り離せない製品も沢山あります。また、同社は強度が高く、電気や熱伝導性に優れているものの、生産コストが高く実用化が困難とされていた単層カーボンナノチューブ(CNT)について、生産コストを大幅に削減するスーパグロース法により量産技術を開発しました。
徳山工場は日本ゼオンの素材事業の中核として、世界でも有数の規模を誇る合成ゴム工場であり、タイヤ・樹脂改質用汎用ゴム、自動車部品用特殊ゴム、樹脂改質・手袋用ラテックス及び重合法トナーを生産しています。
見学会当日は、ゼオンナノテクノロジー株式会社管理部の狩野様の司会進行により、最初に副工場長の小宮山様からご挨拶とともに、日本ゼオンの会社及び製品説明、徳山工場についてのご紹介をいただきました。続いて、ゼオンナノテクノロジー事業開発部の谷島様よりCNT及びCNT製品についてのご説明を受けました。セラミックスの応用事例はもとより、ゴムなどの有機材料やアルミ・銅などの金属へ展開した事例を提示いただきました。さらに、同社品質保証グループの中野様からは、新しい製品形状であるCNTが、安全に使用されるために多くの実験により検証を進めているとの内容をご説明いただき、製品形状から可能性のある人体への影響を詳細に調査し使用者の安全性を確認していることが理解できました。その後、香川大学工学部の楠瀬先生より「極微量CNT分散による絶縁体セラミックスの導電性付与」と題して講演をいただきました。セラミックスに導電性を持たせると他の特性を劣化させる恐れがありますが、CNT添加の場合は微量であるため影響が少なく応用範囲が広がる研究結果などCNTがセラミックスに活かせる無限の可能性について解説いただきました。
工場見学では総務人事課の岩田様のご案内でマイクロバスに乗車し合成ゴムや手袋用ラテックス材料等の製造工程を中心に徳山工場全体の見学が行われました。巨大な建屋、自働化された装置、複雑に入り組んだ配管などにもかかわらず、温度制御や異物混入防止など細やかな管理が印象に残りました。工場全体の見学が終わると、入場者数の制限があるため3班に分かれてCNT製造建屋へ向かいます。まだ新しい製造設備は、品質保証及び原価低減などの様々な工夫と更なる量産に向けての試行を感じさせるライン構成でした。他の班がCNT製造工程を見学している時間帯は、実際に材料として使用された各タイヤメーカ製品などの展示コーナのご案内、会議室ではCNTの紹介ビデオ放映とCNT製品類の展示と担当者との質疑応答などが行われました。
見学終了後には、会議室にて全般を通しての質疑応答が行われました。製品・工程見学・講演などを通して多種多様の質問があり、参加者の方々が色々な面で関心を持ったことが伺えました。
このようにして日本が誇る石油化学工業のラインと世界を変える素材と言われているCNTの生産を体感することができました。
最後になりますが見学会開催にご尽力いただきました狩野様、日本ゼオン広報室の小川様、当日ご対応いただいた皆様、ご講演をいただきました楠瀬先生、見学会にご参加いただいた皆様のご協力に、心より感謝いたします。
これからもタイムリーで皆様の関心にそった見学会を進めてまいります。