7月4日JFCA平成30年度第1回イブニングセミナーがJFCA会議室で実施されました。
トレンドの話題について理解や議論を深めていただくために、JFCAではイブニングセミナーを開催しています。今回は、名古屋工業大学 生命・応用化学専攻 助教 本多先生から「セラミックス材料の耐熱衝撃性と新たな評価手法の開発」について、ご講演いただきました。
ファインセラミックスの代表的な特性には熱に強いことがあげられます。ただ、昔からセラミックスにつきまとった脆いという概念もなかなか払拭できません。テクノロジーの進化に伴い、製品や部品は急激な高熱に晒され、さらに冷却を求められるシーンが増加しています。これらの製品を設計し、ファインセラミックスを適正に使いこなすためには、その耐熱衝撃性を十分に把握する必要があります。
本セミナーでは、セラミックス材料の弱点のひとつといわれる耐熱衝撃性について、材料の物性が複雑に関わるその破壊メカニズムの基礎から、近年、開発が盛んとなっている多孔質セラミックスや絶縁基板材料等を対象とした新たな評価手法の開発とその評価事例について解説いただきました。
ご講演では、セラミックスの耐熱衝撃性全体について触れられたあと、熱衝撃パラメータによる定量評価についてご説明がありました。熱衝撃試験法のうちポピュラーな急冷法と急熱法について触れられ、破壊時間を測定することが重要であると解説されました。熱衝撃パラメータを利用した評価内容として、高熱伝導窒化ケイ素セラミックス、SOFCセル用セラミックスを例示して解説いただきました。また、高熱伝導セラミックスは、高温になるにつれ熱伝導率が低下するために耐熱衝撃特性が低下する事象について、計算によるシミュレーションも赤外線法による直接測定も可能であるとのご説明がありました。続けて、多孔体構造と評価例、窒化アルミニウムの温度依存性、AEを利用したDCB基板の破壊評価システムなど、具体例を織り込んだご講演が続きました。
フリーディスカッションに移ると、ご出席いただいた方々からは、回路基板や燃料電池など様々な分野についての細かな事象に関する質問が寄せられました。また、現在の評価法が実製品の性能と必ずしも一致していない事例について質問があり、本分野への標準化の期待についても意見が寄せられました。本多先生からは、丁寧にお答えいただくとともに、評価を進めるうえで難しさを伴う分野であることをご説明いただきました。
最後になりますが、本多先生とご参加いただいた皆様方に感謝を申し上げます。