9月7日JFCA平成30年度第2回見学会が、大同特殊鋼株式会社知多工場及び滝春テクノセンター(愛知県東海市、名古屋市)で実施されました。この見学会は交流企画委員会の企画で31名の参加者がありました。
大同特殊鋼は、特殊鋼鋼材、機能材料・磁性材料などの事業を行っており、主力の特殊鋼は構造用鋼、軸受鋼、ステンレス鋼、チタン合金などを製造しています。また、モジュール式真空炉・スリムバッチ式真空炉・ローラハース式連続真空炉など特色のある優れた工業炉メーカとしても知られています。
知多工場は、特殊鋼一貫製造工場として世界最大級の規模を誇る主力工場であり、自動車向け構造用鋼をはじめ、ステンレス、工具鋼、高合金に至るまで幅広い鋼種を生産しています。また、工場内に型鍛造工場、帯鋼工場も有しています。滝春テクノセンターは、熱処理技術をベースに、真空技術、操業における制御技術ほか多彩な技術を結集した工業炉を製造しています。
見学会当日は、最初の見学先である知多工場の副工場長永井様からのご挨拶に続き、知多工場についてのご紹介をいただきました。その後、2班に分かれバスを利用して広大な工場内の見学場所を移動しました。
まずは、製鋼プロセスでの、150トン電気炉による製鋼です。巨大な電気炉により鉄スクラップが溶解される様子は見学コースから見ても迫力がありました。また、超大型な装置であるにも関わらず、安定した物づくりに対する様々な工夫が施されていることに関心が集まりました。遮蔽された場所からの見学でしたが、現場の様子について窓を開けて確認すると想像を超える大きな音で生産が行われていることがわかりました。
次いで鋳造工程へ移動して、成分調整が終了した溶鋼が大気に触れない状態を保ちながら鋳型に流され、湾曲型ブルーム連続鋳造及び垂直型丸断面連続鋳造が行われる工程を目の当たりにしました。鋳造品は溶岩のように赤銅色に輝きながらゆっくりと工程を移動する様子が伺えました。
続いて分塊圧延と小型圧延の圧延プロセスです。スピードをつけた製品が圧延機を前後しながら通るたび圧延される様子を見ることができました。
会議室に戻っての全体質疑応答では、技術・生産・品質・プロセスなど多岐に渡る質問が寄せられました。品質管理のために最終工程で採取したサンプルをエアシュータで送り分析を行い、数分で状況を把握できるようなシステムの構築を行っているとのご説明には、工程から受けた印象を超える管理体制を実感できました。
質疑応答後は、展示コーナに移動して、最終形状の製品についてご説明を受けました。自動車エンジン部品、ベアリング部品、リードフレーム、ゴルフ部品など様々な分野に使用されており、こちらでも多くの質問が飛び交っていました。
知多工場見学を終了後、バスにて滝春テクノセンターへ移動しました。滝春センターでは機械事業部長の松井様からご挨拶をいただき、続いてエンジニアリング部門のご紹介を受けました。
滝春テクノセンターの見学では、まずモジュール式真空浸炭炉を見学しました。実験にも使用されている炉には、多連の炉間を素早く動く工夫が見て取れました。続いて見学したスリムバッチ真空浸炭炉では、高い生産性や高品質を実現しながらも小型化が実現された形態の炉であり、炉の前では多くの質問が寄せられていました。最後に見学した組み立て中のローラハース式連続炉では、高生産性・高気密性を保った連続型の炉の組み立て工程を間近で見ることができました。
盛りだくさんの見学と質疑応答が終わったときには、見学終了時間を過ぎており、生産の規模、製品に対する情熱、そして随所にみられる工夫に圧倒された見学会となりました。
最後になりますが、見学会開催にご尽力いただきました機械事業部企画管理部の山田様、当日ご対応いただいた皆様、見学会にご参加いただいた皆様のご協力に、心より感謝いたします。
これからもタイムリーで皆様の関心にそった見学会を進めてまいります。