新年あけましておめでとうございます。
昨年は、令和への改元、ラグビーワールドカップでの日本の活躍、吉野彰氏のノーベル化学賞受賞などの明るい話題が多かった半面、台風による甚大な災害の影響、消費税増税、米中経済摩擦などにより経済の先行きは不透明な状況です。本年は令和になって初めての新年を迎えるとともに、東京オリンピック・パラリンピックの開催も控え、さらに明るく良い年にしていきたいと願う次第です。
さて、ファインセラミックス産業は2013年から右肩上がりの成長が続いており、2018年の国内生産総額は過去最高の3兆円に達しました。これはグローバル市場の中で約4割を占め、世界のトップとなっております。大きく成長した要因としては、スマートフォンをはじめとする情報通信向けの旺盛な需要ならびに、自動車の電装化・電子化の進展による電子部品や半導体の需要拡大が挙げられます。
日本のファインセラミックス産業は順調に成長を続けておりますが、高機能品に特化し先行して技術開発を進める欧米と、低価格で市場を拡大するアジアの存在感は増しております。現在の日本の強みは「材料」と言われており、技術競争力のある「材料」が出口産業の競争力を支えております。日本のセラミックス材料は世界トップレベルを走り続け、今後は追随を許さない高機能化、製造プロセス革新による制約の打破、素材革新などにより更なる競争力の強化が必要と考えております。
JFCAは、グローバル市場を睨んだファインセラミックス産業の振興と拡大を目指して、①世界ルールをリードする、②市場をリードする、③材料をリードする、という3本の矢で活動を展開しております。
世界ルールをリードするという観点では、ISO/TC206(ファインセラミックス)、ISO/TC150(外科用インプラント)の国際標準化の幹事国として重要な役割を果たすとともに、米国先進セラミックス協会(USACA)、欧州セラミックスセンター(PEC)との間で情報交換の覚書締結に基づき定期会議を開催し、新たなルールづくりの推進を行っております。
市場をリードするという観点では、従来から行ってきたセラミックスの原材料や部材の生産や輸入状況をまとめた「ファインセラミックス産業動向調査」による情報提供、欧米や新興国企業の動向やグローバル市場の動向調査に加えて、東アジアなどの研究開発動向の調査分析を行い、会員の皆様に必要な情報の提供ができるよう努めてまいります。調査研究では、機械システム振興協会からセラミック産業の高信頼性のための戦略策定研究を受託し、さらなる高信頼性の向上を目指し裾野の広い産業に発展するような提案を行ってまいります。さらに、ファインセラミックス産業の振興を図るため、年2回「高機能セラミックス展」を共催し、セミナー開催や原料・製品・加工・生産設備・評価関連の企業に出展いただいております。
材料をリードするという観点では、テクノフェスタ、見学会、イブニングセミナーに加えて、ユーザー企業等から講師を迎えてのイノベーションセミナーや大学または国立研究所等での合宿セミナーを継続して開催し、新技術、新市場作りに向けた自己研鑽の場を提供するとともに、先進コーティングアライアンス、CMCコンソーシアムを通じて国プロの提案、勉強会、セミナー等を開催し、新市場の開拓、共同研究の支援、技術的な課題解決の場を提供できるよう努力してまいります。
これらの活動がファインセラミックス産業の発展に寄与できるよう、皆様方のご理解とさらなるご協力をお願いする次第です。
また、これらに続く活動として、本誌(FC Report)では引き続き会員に役立つトレンドにあったテーマの特集をお届けするとともに、さらなる新企画の連載を検討しております。また、昨年より協会のホームページの充実を図っており、コンテンツの更新を定期的かつタイムリーに実施し、ファインセラミックス産業に信頼される情報発信源となるよう努めていく所存ですので、ご要望があればJFCAにご希望を寄せていただくことを期待しております。
本年も、セラミックスファミリーの皆様のご協力をいただき、令和の意味するごとくに新たな時代でファインセラミックス産業がさらに大きく花を咲かすべく、最大の努力をしてまいります。皆様方からのより一層のご支援をお願い申し上げます。