新年あけましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大が漸く沈静化したものの、再び第8波が押し寄せてくるなど、依然新型コロナウイルスに翻弄された一年となりました。そのような状況ではありましたが、ワクチン接種も進み、新しい生活様式が浸透しはじめたことで、我々の生活も少しは本来の賑わいを見せるようになってまいりました。一方で、世界情勢の緊張は高まり、サプライチェーンの乱れによるエネルギー問題や、食料・原材料の供給問題、急激な円安の進行など、まだまだ予断を許さない状況ですが、本年も環境問題をはじめとする社会課題の解決に取り組み、明るい幸せな未来の実現に向け、歩を進める1年にしていきたいと願う次第です。兎年は、飛躍の年といわれます。皆様と力を合わせて、さらなる高みを目指してジャンプしていきたいと思います。
さて、産業動向調査委員会(委員長:東工大・篠崎教授)が通算40年にわたり実施しております「ファインセラミックス産業動向調査」によると、グローバル市場における日本のファインセラミックス産業の総生産額は、2021年度は前年比約16%増加の3.6兆円となり、4年連続で3兆円を上回りました。また、2022年度も前年比約10%増加の3.9兆円の見込みであり、4兆円に迫る勢いで、その世界シェアは約40%を占め、成長を続けております。しかし、先進国はもちろん、新興国などによる積極的な研究開発や、価格競争の激化などもあり、日本のセラミックス産業を更に強く、盤石なものにしていく必要があると考えております。
そのような中、JFCAは、常にグローバル市場の観点から、ファインセラミックス産業の振興と拡大を図るべく、 ①国際ルールをリードする ②市場をリードする ③材料をリードする という3本の矢をもって活動し、①国内外の情報提供の場 ②セミナーや研究会を通じた学びの場 ③会員相互が繋がる場 という3つの場を継続して提供しております。
昨年は、新型コロナウイルスの状況を考慮しながら、3年ぶりに総会をはじめとする、すべての取り組みを対面形式で実施し、概ね成功裏に終えることができたと考えております。また、欧州、米国の展示会への調査団派遣や、欧州セラミックスセンター、米国先進セラミックス協会との定期会議にも参加しました。改めて人と人とのリアルなつながりの大切さを実感した次第です。さらに、JFCA事務所では改装を行い、会員の皆様が出張される際にご利用いただけるWEB専用ブースを設置いたしました。会員の皆様との交流の場としてもご活用いただきたいと考えております。このように充実した協会活動を行うことができましたのは、皆さまより多大なご協力をいただいたからこそでございます。この場をお借りし改めて御礼申し上げます。
さて、一昨年、経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。過去に例のない2兆円の「グリーンイノベーション基金」も創設され、エネルギー、製造輸送関連など14の重点分野で、研究開発から社会実装までを見据え、企業等の取り組みに対して10年間の継続的な支援が行われます。いずれの分野においても、ファインセラミックス産業に対する期待は非常に大きく、さらなる成長につながる機会であると考えています。
本年はカーボンニュートラル委員会(委員長:東京大学・星野教授)を新設し、より深く実効性のある議論を進め、地球環境改善への一助となるべく取り組んでまいります。また、国際標準化では、JFCAが国際幹事国を務める第30回ISO/TC206総会が、10月に京都で開催される予定です。引き続き、幅広い活動を積極的に推進していきたいと考えております。
本年も、新型コロナウイルスや地球環境問題への対応、地政学的リスクの増加など社会の急速な変化は続くと考えられます。カーボンニュートラルの実現に大きく貢献でき、これからの時代と社会に役立つファインセラミックス産業を目指し、経済産業省をはじめとする関係省庁・団体のご指導をいただきながら、会員会社の皆さまとともに、微力ではございますが最大の努力をしてまいる所存です。本年も、会員会社の皆様方からの一層のご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。