新年あけましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルスが第5類に移行したこともあり、コロナ以前の生活様式に戻りはじめ、我々の生活も本来の賑わいを見せる1年になったと感じております。スポーツの世界では、ワールドベースボールクラシックでの日本の劇的な優勝で始まり、米国大リーグでの大谷選手をはじめとする日本人選手の大活躍など、日本を元気にしてくれる話題が数多くありました。また、社会的には、一昨年11月に発表されたChatGPTに代表される生成AIの出現が、仕事の進め方に変化をもたらすなど、インパクトを与え始めました。今後我々の生活を大きく変えていくであろうことは、誰もが認めるところだと思います。
一方で、世界情勢の緊張は高い状態が続いており、サプライチェーンの乱れは緩和されてはきましたが、エネルギー問題や、食料・原材料の供給問題、さらに円安の進行なども続き、まだまだ予断を許さない状況です。本年も環境問題をはじめとする社会課題の解決に取り組み、明るい幸せな未来の実現に向け、歩みを進める1年にしていきたいと願う次第です。
さて、産業動向調査委員会(委員長:東工大・篠崎教授)が通算41年にわたり実施しております「ファインセラミックス産業動向調査」によると、グローバル市場における日本のファインセラミックス産業の総生産額は、2022年度は3.6兆円となり、5年連続で3兆円を上回りました。また、2023年度は、政治学的要因、地政学的緊張の影響で世界経済が複雑な状況であることから、前年比約94%と減少し、3.4兆円の見込みですが、そのシェアは約40%を維持しております。しかし、先進国はもちろん、新興国などによる積極的な研究開発や、価格競争の激化などもあり、日本のセラミックス産業をさらに強く、盤石なものにしていく必要があると考えております。
そのような中、JFCAは、常にグローバル市場の観点から、ファインセラミックス産業の振興と拡大を図るべく、 ①国際ルールをリードする ②市場をリードする ③材料をリードする という3本の矢をもって活動し、①国内外の情報提供の場 ②セミナーや研究会を通じた学びの場 ③会員相互が繋がる場 という3つの場を提供し続けております。
昨年は、一昨年に引き続き総会をはじめとする、すべての取り組みを対面形式で実施しました。その中でも、第30回ISO/TC206総会は、京都平安神宮会館で8カ国約100名の参加者をお迎えし開催、活発な議論が行われ、成功裏に終えることができたと考えております。加えて、その後の懇親会も活気ある雰囲気の中、参加者間での積極的なコミュニケーションが図られました。改めて人と人とのリアルなつながりの大切さを実感した次第です。
このように充実した協会活動を行うことができましたのは、皆さまより多大なご協力をいただいたからこそでございます。この場をお借りし改めて御礼申し上げます。
本年は、昨年3月から取り組みを開始しております3D積層造形研究会(委員長:武藤豊橋技術科学大学教授)、9月に立ち上げましたデジタルラボ研究会(委員長:一杉東京大学教授)の活動を本格化し、日本が強いセラミックス材料の研究開発手法の改革に向けて、精力的に取り組んでまいります。
本年も、地球環境問題への対応、地政学的リスクの増加など社会の急速な変化は続くと考えられます。カーボンニュートラルの実現に大きく貢献でき、これからの時代と社会に役立つファインセラミックス産業を目指し、経済産業省をはじめとする関係省庁・団体のご指導をいただきながら、会員会社の皆さまとともに、微力ではございますが最大の努力をしてまいる所存です。本年も、会員会社の皆様方からのより一層のご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。