11月6日JFCA第3回見学会が東京大学先端科学技術研究センター香川研究室及び高信頼性・高温材料研究開発拠点で実施されました.この見学会は広報委員会交流企画分科会の企画で,21名の参加者がありました.
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平成24年度第3回見学会
東京大学先端科学技術研究センター香川研究室,高信頼性・高温材料研究開発拠点
香川教授研究室ではセラミックス複合材料(CMC)の破壊挙動・信頼性などを研究されています.さらに先端科学技術研究センターには,金属,セラミックス,プラスチックス,複合材料それぞれの高温応用の研究開発を行う「高信頼性・高温材料研究開発拠点」が設立され,立上げが進められています。
当日は小雨の中,東京大学駒場リサーチキャンパスに参加者が集合,はじめに経営戦略企画室山下教授から東京大学先端科学技術研究センター及び「高信頼性・高温材料研究開発拠点」のご説明がありました.先端科学技術研究センターは年間約40億円の予算の75%を国やNEDOのプロジェクトなど外部資金が占めているとのことです.そのような中,新しく設立された「高信頼性・高温材料研究開発拠点」においても,企業の参加するコンソーシアムからの資金も利用して,共通基盤的テーマの研究や各企業の個別テーマの開発など,大学のシーズ技術と企業のニーズを結びつけることを目指しています.コンソーシアムには現在8社が参加しています.まだ設備は導入予定の段階ですが,実験場所が確保され,商品につながる新しい開発が期待されます.
続いて香川教授にCMCに関するご講演をしていただきました.CMCは約30年間で,材料開発,プロセス開発,特性の解析と言う歴史を経て,現在は自動車のブレーキや航空機エンジンの部材として応用が始まり,実使用環境下での信頼性を示すための研究開発の段階にあるとのお話がありました.CMCはモノリスセラミックスとは異なる破壊挙動を示し,破壊に至らないクラックの進展,クラック表面の酸化などの進行など,ダメージを蓄積した結果としての破壊が主となり,新たな設計手法が必要になるとのことです.さらにアメリカ,フランスとの開発競争の現状などについても言及いただきました.ご講演の後,航空機エンジンなどの実用条件を実現する高温荷重負荷装置や,ボイドやクラック発生を誘電率変化を利用して検出し,初期欠陥やダメージの蓄積状況を検証する非破壊の検査装置などを見学しました.
モノリスセラミックスの適用が難しかった応用が,CMCにより実現しつつあることを認識し,一方でCMCの塑性変形とも異なる破壊に至る挙動が新たな課題であることを勉強させていただきました。東京大学先端科学技術研究センターの活動の理解とCMCの応用の可能性を感じることができた有意義な見学会となったことを期待します.これからもタイムリーで皆さまの関心に沿った見学会を企画したいと考えます.今後ともよろしくお願いいたします.
最後になりますが,香川先生,山下先生,西岡先生,垣澤先生,香川研究室のみなさんのご親切なご対応と,見学会参加の皆様のご協力に心より感謝いたします.