米国には、数多くの市場調査会社やコンサルティング会社があり、毎年、種々の分野
で分析レポートを発行している。JFCAのファインセラミックス市場予測(2020年、11
兆円)は、MarketsandMarkets社の予測(950億ドル=11.4兆円)を用いている。先
月、Global Industry Analysts社(GIA)の市場分析レポートを入手したので概要を
報告する。
(市場予測)
2016年GIAレポートは、①ファインセラミクス、②セラミックコーティング、③セ
ラミック複合材の三つの区分で、①化学、②電気、③電子、④機械、⑤輸送、⑥その
他の6つのエンドユーザに分けて分析。
グローバルなファインセラミックス市場は、2016年は573億ドル(6.88兆円)で、
2022年は798億ドル(9.58兆円)と予測、日本が最大市場で、2016年は224億ドル(2.
69兆円)、2022年は310億ドル(3.72兆円)で年率5.5%成長を予測。世界の中では、
アジア太平洋地域が最速の成長市場で、年率7.4%を見込む。2015年の日米両国の生産
額は、世界市場の67%(日本:39%、米国:28%)を占める。また、京セラ、村田製作
所、Morgan Advanced Materials(米)、CoorsTek(米)、Ceradyne(米)、
CeramTec(独)のトップ6社は、グローバル市場の25%を占めるとした。
製品別では、ファインセラミックスの最大ユーザは、電気・電子部品で、そのほか
には、摩耗部品、フィルター、エンジン部品、バイオセラミックス、ボディアーマ、
分離膜、切削工具である。セラミックコーティングは、摩耗部品、エンジン部品、切
削工具である。セラミックス複合材は、セラミックス繊維とコーティングが、CMCの
重要な鍵としている。
(今後の市場)
国別では、日本は携帯電話やポケベルなどの高度な電子部品で世界を大きくリー
ド。今後の日本市場は、重要な分野として①バイオニック、②情報通信、③エネル
ギー/環境分野を上げた。米国はCMCで大きくリード、軽量材料、レーダードーム、
航空機エンジンなどの高度なセラミック素材はNASAやDODの支援が大きいのが特徴。
今後の米国市場は、①運輸部門が牽引(航空機エンジン、環境規制対応フィル
ター)、②バイオセラミックスの高い伸び(整形、歯科分野)、③ポテンシャル大の
医療・治療分野(インプラントセンサー、DDT)とした。欧州は、もうひとつの大き
な市場で、2014年施行のディーゼルエンジン排気フィルタの需要は大きな成長分野。
中国は、①機械分野が高成長分野(10.2%)と②MLCC(積層セラミックコンデン
サー)の高い需要を予測した。