(1)ファインセラミックス標準化プログラムの策定とその推進
「JFCA 委員会規程」および新たに制定した「標準化に関する委員会規程」に基づき、標準化プログラムを推進します。
標準化プログラムの最高執行機関である標準化委員会の役割として、①年次計画の立案と推進、②新規標準化テーマの承認、③標準化原案の作成と承認、④日本提案の規格発行に向けた審議参加、関連国際会議への日本代表団の派遣計画の承認、⑤外国提案の規格案に関する協議・対応、⑥発行済み規格のシステマチックレビュー(利活用状況の調査と規格の維持・管理)、⑦ファインセラミックスに関する ISO 規格の国内への普及を加え、これを推進して行きます。
(2)調査研究
<国際標準化にむけた規格原案作成>
①ISO/TC 206(ファインセラミックス)
ファインセラミックスに関する規格原案作成団体として関連する国際規格原案を審議・作成し、我が国の意見を国際規格に反映させます。今年度は、下記のテーマについて国際規格原案の作成を行います。
(a) 固体酸化物形燃料電池セル用セラミックス材料の弾性率試験方法と構造評価法に関する国際標準化
株式会社野村総合研究所から委託を受けて、グリーン成長戦略における重点課題「デジタル機器・産業の省エネ・グリーン化」を実現するキーデバイス固体酸化物形燃料電池(SOFC)に関し、セラミックス部品の弾性率温度依存性試験方法、多孔体の構造評価方法、及び微小部力学特性試験方法の国際標準化を目指します。
(b) GaN ウエハの XRC 測定方法に関する国際標準化
グリーン成長戦略における重点課題「デジタル機器・産業の省エネ・グリーン化」を実現するキーデバイス「次世代パワー半導体(GaN)」に関し、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板について、非破壊で結晶品質(転位密度)を正しく測定する結晶性評価方法の国際標準化を推進します。2022 年度からの 3 年間で国際標準化を目指します。
(c) カーボンニュートラル社会基盤形成に向けたファインセラミックス極薄薄膜の高精度膜厚測定および薄膜密度評価方法に関する国際標準化
ファインセラミックス薄膜は、5G、6Gの通信に使用される高度デバイスや自動運転に必須のセンシングデバイスに必須なものとなっているが、膜厚の高精度な測定方法及び膜密度の測定方法について国際標準化を推進します。2022 年度からの 3 年間で国際標準化を目指します。
(d) カーボンニュートラルに向けた脱炭素・再生可能エネルギーの有効活用と熱エネルギーマネジメントに関する標準化調査
カーボンニュートラルの実現に向けて、非化石燃料を熱源とする工業炉等製造設備や、余剰電力を大規模、長時間蓄電できる蓄熱発電システムに使用されるセラミックス、及びセラミックス蓄熱体の課題と有用性を調査します。その後、2023 年度からの 3 年間で、国際標準化を目指します。
(e)次世代パワエレ絶縁基板の動的熱特性評価方法に関する国際標準化
株式会社野村総合研究所から委託を受けて、省エネ対策・新エネ導入を促進させるための、次世代パワー半導体用セラミックス基板について、「熱流測定による定常熱抵抗の測定方法」、「疑似発熱チップを用いた実装基板での水平方向の熱抵抗測定方法」、「過渡熱測定法による両面冷却パワーモジュール基板の熱抵抗測定方法」について技術確立し、それぞれの標準化案を作成し ISO/TC 206 への国際標準提案を目指します。
(f)長繊維強化セラミックス複合材料の試験法標準化に関する調査作業
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)からの請負で、長繊維強化セラミックス複合材料の特性試験のうち、「樹脂含浸繊維束引張り試験」及び「面内せん断試験法」に関し、ISO 化や JIS 化の検討を推進し、戦略的に国際標準化を進めます。 (日本提案による ISO 規格)
②ISO/TC 150(外科用インプラント)
外科用インプラント(ISO/TC 150)のうち、外科用インプラント(全体)、材料(SC1)、人工関節及び人工骨(SC4)、骨形成(SC5)及び再生医療機器(SC7)、生体組成モデル(WG14)に関する規格原案作成団体として関連する国際規格原案を審議・作成し、我が国の意見を国際規格に反映させます。
今年度は、下記のテーマについて国際規格原案の作成を行います。
(a)先端的バイオセラミックスの健康支援・制御に関する国際標準化
バイオセラミックスの生物学的多能性評価について検討し、将来の ISO 提案を目指します。本年度までの3年間実施した「バイオセラミックスの生物学的多能性評価方法に関する国際標準化」の後継として、骨補填用セラミックスベース複合材料の評価方法、バイオセラミックスの三次元造形における構造・力学評価方法、人工股関節セラミック骨頭ボールの数値シミュレーションによる衝撃強度評価方法の検討を実施します。
(b) Additive Manufacturing (積層造形:以下 AM) 技術による患者適合型支援システム造形に関する国際標準化
大阪大学からの請負で AM を使った人工関節置換術に付随する外科用ガイドブロック開発のための、・輪郭形状精度評価、・ガイドブロック固定力評価、・AM 造形物の力学的評価についての国際標準化を検討します。
以上